素敵な出会い系
なぜか用事が早く終わって、予定より早めに帰宅した時のことだ。
夫はウチにいるはずだったが、私は玄関のカギを自分でガチャガチャッと開け、バーンと開けた。
夫が顔を真っ赤にしながら、大慌てでリビングから飛び出してきた。
「あ、あれ、早かったね〜」すると、ズボンのチャックが半開き。
シャシがはみ出している。
当時の私は、夫につっかかる日々を送るうち、次第に、夫とのこの先の生活や人生を思い描けなくなっていた。
私は、不思議に思いながらも、遠慮せず、ドカドカとウチに入って行った。
リビングを通ると、テレビ画面が砂あらし。
はは〜ん。
見てたな。
察した私は、寝室へ消え、彼を1人にしてあげた。
ガタガタガタッと、ビデオを操作する音。
「ちょっと、出かけて来るね」夫が、そそくさと、出て行った。
仲のいい夫婦なら、冗談にすることもできたろう。
「やだ〜。
なによ」「いや、たまには、こういうこともあるってことで、ハハハ」「ズボンのチャックあいてるしい」「うわ、ほんとだ。
失敗、失敗」「ビデオを消すより、チャックが先じゃん」「今度はそうするよ〜」こんな会話はもう、私たちにはできなかった。
私の心の中は、嫌悪に近かった。
離婚を考えている夫婦は、互いの誕生日に、なにを交換するのだろう。
私は交際中、彼からいろんなプレゼントをもらった。
彼はぬいぐるみ、鏡、花束、花瓶、食器など、私のリクエストに応えて贈ってくれた。
結婚生活は1年半だったので、誕生日は一回しかなかった。
よって、いただいたプレゼント私の誕生日が近くなったある日。
すでに私たちの関係はギクシャクしていたが、夫はやさしく聞いてきた。
「プレゼント、なにがほしい?」「べつに、いらない」「そんなこと、言わないで。
なにか、言ってよ」そうね、急に、なにももらわないというのもヘン、か。
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